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2026年1月掲載着物と紋について、
改めて考える


この頃ご相談いただくことがまた増えたなと感じるのが、紋のことです。

家紋ってどれくらい気にしたらいいですか?」と言われるのですが、本当にその辺りはその方の考え方によると思います。年代や、お住まいの地域でも違いがあると思いますし、気にされる方は厳密にお考えになるし、一方で全く気にしないわと言う方も増えていると思います。

以前こんな記事で紋についてお話しをいたしましたね。

後から入れたり、抜いたりもできます。着物の紋のおはなし

女将はどうですか?と言われるのですが、私の考えだけでは判断がつかないですし、やはり「家紋」について理解した上で、ご自分が納得されることが大切なのかなと思います。本当にお答えしづらくなっています。

抽象的なお話から入ってしまいましたけれど、本当に今の時代は過渡期であると申しましょうか、価値観が変わってきていますね。

冠婚葬祭の時に「家を代表して」と言うような立場で着物を着る時は家紋が必要でしょうけれど、結婚式の留袖などもレンタルの場合もありますし、紋に強いこだわりがなければ今はそんなに気にしない方も増えていると思います。

昔、嫁入りの時に着物をあつらえたような時代には、実家の紋を入れていたものです。私の場合も最初は実家の紋を入れたものを着ていましたが、結婚してから紋付きを誂えた時には婚家の紋を入れました。

その時義母に「あら新しく作ったのね」と言われたので、紋を気にしている人なんだなと思ったことはありますね。地方はよりそういう傾向があるかもしれませんね。

そして私の嫁入り着物の紋は、ずっと実家の紋だと思っていたら実は母の実家のものだったと後にわかって(笑)、母がそういうことを気にしない人だったということが判明したということもありました。

そうでなくても意外と家紋はうろ覚えと言いますか、間違えていたり正式ではない形で使っていることもあります。丸があったりなかったり、線の数が違っていたり、結構今までもお客様とのやり取りの中で実はそうではなかった、というようなことも何度かありました。似た名前や形でも、結構繊細なバリエーションがあるものなのです。

きちんとしたものを入れたい時にはお墓の写真を撮って確認してしてみてください、とおねがいしたり。いつも使っているものではないと、思い込みでうっかり間違ってしまうということもあるんですよね。

お茶をされている方は着物には一つ紋が入っていなくては、などと言われたものですが、それも拘らない先生も増えているとか。今はあまり紋が必要というシーンは減っています。

以前は一つ紋を入れておくと便利ですよとおすすめしたものですが、今はむしろ入れないことをおすすめしています。紋を入れたことで、お召しになるシーンが限定的になることもありますから。

ちょっと話がずれますけれど、先日着付け教室で生徒さんが黒留袖をお持ちになってこれを普段から着られるようになりたいとおっしゃったことがあって、でもやはり五つ紋のフォーマルウエアは普段には着られませんよねというお話になったことがあります。紋には、やはり意味があるものです。

今は洋服のように着崩したりすることもありますが、着物としてきちんと着る場合はやはり紋があるかないかでは違ってきます。

必要であれば後からでも入れられるから、色無地などでも最近は紋を入れずにお作りすることが増えましたね。時代が、世代が変わったのだなあと感じます。これから、そんな「紋」のTPOも変わっていくのかもしれませんね。また、家の紋に拘らず、自分の好きなものを入れるということも増えています。

直径2センチあまりのほんの小さな面積のことですけれど、紋には受け継がれてきた意味があり、美しさがあります。ご自分と紋についてちょっと考えてみるのも、着物の楽しみのひとつかもしれません。