皆様、明けましておめでとうございます。コロナ禍で、いつもとは違ったお正月、どのようにお過ごしになられましたでしょうか。そんな中でも、やはりお正月は晴れ着を着たり見たりする機会が増えて、改めて着物のよさを感じております。どんなときでも心の豊かさを忘れずに、日々過ごしていけたらと願う一年の始まりです。
さて、今年最初のコラムは「着物の寸法」についてお話したいと思います。着物は洋服に比べてサイズに融通がきく部分はありますが、やはりマイサイズ、マイベスト寸法が着やすいものです。以前、このコラムでも寸法についてはお話したことがありましたね。
だいたいの場合は、身長とバストとヒップ、裄がわかれば他の寸法は呉服屋さんや和裁師さんが割り出して仕立ててくれるものです。寸法の各部の名称は図を参考にしてくださいね。そして寸法につきましては、着物はセンチでなく鯨尺(1尺=37.88cm)で表すこともあります。(地域によってはまれに曲尺(1尺=30.3cm)のところもありますので、ご確認くださいね)。
例えば、袖の長さは49センチが今はほとんどですけれども、49センチは「1尺3寸」です。ご自分がよく使われるマイ寸法については尺でも覚えておくと役に立つことがありますよ。
寸法の測り方や、体型別の工夫につきましては、以前ご紹介しました、こちらをご覧くださいませ。
○ テクニックいらずで美しい着姿に!「マイベスト寸法」を知ろう<初級編>
○ テクニックいらずで美しい着姿に!「マイベスト寸法」を知ろう<上級編>
今回は上級編からさらにもう一歩踏み込んでお話いたしますね。それは「お好み」と「体型の変化」についてです。
ひとつは、着やすさにも「お好み」があるということです。いくら、体にはこの寸法があっています、といわれても、それで作った着物でもう少しここがこうだといいな、とか、どうもここが気に入らない、というようなことがあれば、遠慮なく伝えて、相談なさるとよいと思います。
例えば、お茶を習っている方は立ち座りが多いので前幅を広く取る、とか、とか、動きやすいように普段着では裄を少し短めにする、といったことですね。私は身丈を長めにしていますが、これは腰骨のところでなく、もう少し上で腰紐を締めるのが好みなためです。逆に腰骨で腰紐を結ぶのが好きな方は短めのほうがよいということです。
これは着る人によって違いますから、マイベスト寸法を追求していっていただきたいと思います。ただ私も、素人考えでいろいろやりすぎて失敗したことも多々あります。ある程度は、統計的によいとされている寸法は参考になさるとよいと思います。
そしてもうひとつは「体型の変化」です。人間の体は変わるもの。太ったり痩せたり、年齢による変化、それからどんなときに着るかで、その時着やすい寸法というのは実は変化しているのです。
コロナ太りなんて言葉もありますが、私もご多分に漏れず何となく身幅が足りなくなってきた着物も‥‥。着物は、多少の体重の増減は受け止めてくれますが、さすがに洋服と同じで7号と9号、9号と11号ぐらい変わってしまうと、受け止めきれないこともあります。
私のサイズはこれ、というものがあっても、このごろ少し体型の変化があったな、とか、しばらくぶりに着物を誂える、というようなことがありましたら、ぜひサイズは測り直してみてください。
誂えでなくても、着物は体型の変化があったらお直しもできますので、今のご自分のサイズを把握することも、着物を着やすくする近道です。
例えば私、最近作った着物では、褄下を短くしました。ということは、腰の位置が下がったということです。そんな部分にも年齢が現れるものなんですね‥‥。でも着やすい方がいいですから、今の自分に着物をあわせていけばいいのです。
先日は店のスタッフがコートを作って、なんだか小さいというのでよく聞いてみたら、若いときの寸法そのままで仕立てたのだとか。横に成長していたら、若いときの寸法ではあわないはずですよね。
自分のサイズはこれ、と思っていても、時々見直しされるとぐっと着やすくなることもございます。私の褄下の寸法なんかもちょっとしたことですが、やはり格段に着やすくなりましたよ。
新年を機会に、マイベスト寸法の見直しをされてみるのもよいかと思います。私はこれ以上身幅を広げないようにというのを、新年の抱負のひとつにしたいと思います‥‥。
皆様、本年もどうぞおつきあいのほど、よろしくお願い申し上げます。
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