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2019年11月掲載2019キモノEXPOレポート
大久保信子先生の講座をダイジェストでご紹介!


秋たけなわ。色づいた並木の下をそぞろ歩くのも楽しい頃になりました。
一年で一番気持ちいいこの季節、いち利では毎年「キモノEXPO」というイベントを開催しております。
「見て、着て、知って、楽しめる和の祭典」と銘打ったこのイベント、東京、大阪と2会場で終わったばかりの熱も冷めやらぬうちに、会場の様子と、両会場で一番人気だった「大久保信子先生の体型別着付け講座」の内容を、ご紹介したいと思います。

さて、まず「キモノEXPO」につきまして、簡単にご紹介いたしましょう。
お陰様で今年は4回目となりました。東京メルサGINZA-2、大阪は御堂筋ホール心斎橋と、店舗よりずっと広いスペースをお借りして、いち利モールの新商品やセールコーナーを始め、桐箪笥、草履、足袋など各老舗コーナー、京友禅、紬、絞りなど様々な日本の伝統工芸を一度にご覧いただける「クリエイターズ」コーナーなど充実の出展を中心に、着物のお手入れやお仕立てが特別価格になる「きものクリニック」、手作り和小物やヘアメイク、カラー診断などのワークショップと、着物ファンなら丸一日楽しんでいただける盛りだくさんのイベントです。

今回を振り返りますと、特に人気だったのは、帯〆&帯揚セットで5000円の特価コーナー。高級メーカー渡敬さんのお品が並び、ご来場の皆様が熱心に色合わせを選ぶお姿が絶えませんでした。「クリエイターズ」コーナーに並んだのは、後継者難で10年後、20年後にこれほどの工芸品が見られるかしら、という技術の粋を極めたものばかり。呉服屋さんの店頭ではめったに見られない作品に触れていただき、感嘆の溜息が上がっていました。
きものクリニックでは、お母様やおばあ様のお着物の古いシミや寸法などのご相談をたくさん承りました。大切なお着物だからこそ、職人さんとお顔を合わせてお話できるのは、ご安心いただけたことと思います。前に直してもらった着物を着てきたのよ、というお客様に、職人さんが満面の笑顔になられた場面も印象的でした。

さてそんな中、東京・大阪両会場合わせて100名をゆうに超えるご参加者にお集まりいただいたのが「大久保信子先生の体型別着付け講座」です。これまでも何回かいち利の店舗で大久保先生のイベントを開催しておりましたが、今回はEXPO特別イベントということで、ネットやインスタをご覧いただいた方も多かったようです。

大久保先生とはいち利開店からご縁をいただき、これまでのコラムでも「あくなき美の探究者!大久保信子先生の着付け」、「大久保信子先生×女将のトークショー~いつまでも美しく!自分をデザインする着付~」を掲載しておりますので、ぜひ合わせてお読みになってみてくださいね。

大久保信子先生といえば、一番有名なのは「日本初の着物スタイリスト」ということでしょう。雑誌やテレビ、商業演劇で欠かせない着物の着付け、コーディネートを専門職として確立なさったのが大久保信子先生です。幼い頃から日舞のお稽古をはじめ、歌舞伎や邦楽など和文化を通して着物に親しみ、着物のお仕事に入られてからは職人肌の衣装さんやカメラマンに鍛えられ…その着物経験値はまさに圧倒的!「昔の撮影現場にはまだまだ徒弟制が残っていて、本当に厳しかったのよ。でも、今思えばそれが良かったのね」と大久保先生。
合理的で美しい着付けは多くの女優たちから信頼され、全国を巡回した「池田重子コレクション展」でも大久保先生が着付けを担当されました。私たちが展覧会で池田重子さんの着物やコーディネートの素晴らしさを目の当たりにできたのも、着物の美を引き出す着付けがあればこそと言えるでしょう。

そんな「大久保流着付け」のポイントがたっぷり語られた特別講座。中でも、すぐに実践できるテクニックをダイジェストでご紹介いたします。

大久保流着付けその1
「身近にある道具を活用する」
今回の講座で大活躍したのが「セロテープ」と「手ぬぐい」。余分な補正はしないといっても、補正ゼロということではありません。最小限で最大の効果を引き出すのが大久保流。よくいわれる「タオルをVの字にして肩にかける」「腰にパッドを入れる」など、身体を大きく見せる補正は使いません。
「舞台女優は、大きな劇場で存在感を出すわけですから、補正を入れてもいいの。でも、補正は自分の肉ではないから動くし、ずれる。それが着崩れになるんです」
そうおっしゃる先生がおすすめする数少ない補正アイテムが手ぬぐいです。半分に切った手ぬぐいをハンドティッシュくらいに折りたたみ、肌着の上から、鎖骨の下あたりにセロテープでピっと貼り付けます。「きれいな衿元の秘訣は鳩胸。胸元に少し高さを出すことで衿合わせがおさまり、肩のシワも減りますよ」
これ以外にも手ぬぐいは、紐を付けて長襦袢用の伊達〆にしたり大活躍。セロテープは、肌着の打ち合わせをとめるのにも使います。まさに目からウロコ!

大久保流着付けその2
「改良肌着でボディメイク」
「肌着はただ着るんじゃないの。裾よけもただ巻くんじゃないのよ」と大久保先生。
着付けの手順、動作ひとつひとつの意味を考えることが美しい着付けにつながります。大久保流の肌着は、昔からある綿の肌着の脇縫いを、脇下5センチくらいを残してぐっと開いてしまいます。これでどんな体型の人も、しっかりバストを包み込んでボリュームを整えることができます。裾よけは胴に巻くサラシ部分を市販のものの倍くらいに縫い替え、紐も上線より少し下に。サラシの端は三角に折り上げ、ぐーっと力を入れてヒップを上げ、お腹を押さえるように巻きつけます。
「サラシの余りはくしゃくしゃのままでいいの。これが、胴の補正の代わりになります」
あるものを利用して余計なものを足さない。だからスピーディーで合理的。これこそ大久保流の極意かも!?

大久保流着付けその3
「染めの着物と織の着物、それぞれの良さを生かす着付け」
大久保先生の着付けといえば、きゅっと裾すぼまりになったスマートなシルエット。女優さんはもちろん、池田重子コレクションの撮影でも、この「美ライン」着付けは皆の憧れです。
「やわらかい染めの着物は、下前裾を15センチ、上前はその半分上げます」そう言いつつぐっと裾を上げて身頃を巻きつける大久保先生。会場からは「そんなに上げるんですか?」と驚きの声も。
「美しいキモノの撮影では、裾はまっすぐ、おはしょりもまっすぐにします。それは雑誌の撮影だからなの。皆さんは動いたときにきれいな着付けを目指しましょう。裾を上げると、おはしょりは斜めになりますが、それでもいいのよ」
「織の着物は硬いので、上げるのは染めの半分でいいんです。下前で7センチ、上前で4センチくらい。そして、染めはやわらかいラインを生かすように手さばきも丸くやわらかく、織の着物は折り紙を折るように着付けます」
ご自分の身体はもちろん、着物や帯の生地の特徴に合わせ、どうしたら一番きれいかを考える。この探究心こそ、大久保流着付けの美しさの源なのです。

最後に、大久保先生から着物ファン、特に若い着物ビギナーさんへのメッセージです。
「やっぱり、日本の女の子には着物が一番似合うのよ。本当にどなたでも似合います。それを、私はいかり肩だから着物は似合わない、私は背が高い低い、やせてる太ってる、そんなことで着物を避けてしまうのは本当にもったいないことです。人間の身体は皆違います。そして、着物のかたちは寸法こそ違っても同じでしょう。だからこそ、着付けで自分に似合わせることができるの。ぜひ、ご自分が一番美しく見える着付けをして、着物を楽しんでくださいね」

今年のキモノEXPOはおかげさまで盛況のうちに終了いたしましたが、来年もまた開催予定です。大久保先生の講座やEXPOにご興味をもってくださったあなた、ぜひ来年は、会場でお会いいたしましょう!

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