2018年12月掲載冬こそ快適に着物ライフ。
コートと肌着で上手に冬支度


いよいよ12月、街はクリスマス一色です。なかなか着物を着る機会がない方も、この季節はおでかけのチャンス!ふだんは「ちょっと派手かしら…」と気が引けていたお着物も、きらびやかにライトアップされた街並みには意外としっくり合うものです。いち利でも年末年始は、クリスマスパーティーをはじめたくさんの方に着物でご参加いただけるイベントを開催します。思い思いにお洒落した着物姿の方が数十人もずらりと揃われるのは、本当に華やかで壮観なんですよ♪

さて、今回はそんな冬の必須アイテム「コートと肌着」についてお話したいと思います。
実はこのコラム、これまで夏の汗対策のことは熱く!?語ってまいりましたが、冬の着物や防寒はあまり話題に上りませんでした。温暖化の昨今、皆様寒さより暑さにお困りでは、ということもございましたが、何より私自身がどちらかといえば暑がりで…
とはいえ、やはりこの時期、ビギナーさんはコートをお持ちでなかったり、おうちにあるものが着丈の短いコートだったりと、まず上着で悩まれますし、反対にふだん着物をよくお召しの方は防寒肌着や便利グッズなどをお探しになります。お住まいの土地の気候や体感温度など皆様異なると思いますが、こんな覚書もお役にたつことがあるかもしれません。

さて、コートや羽織の型や選び方は「羽織?道行?道中着?コートのお悩みズバっと解決」でもご紹介いたしましたので、よろしければ合わせてご覧くださいませ。
今から着物を揃える生徒さんに「コートは必要ですか?」とお訊ねいただくこともありますが、私は「お洋服と同じに考えてみてください」とお答えしています。
12月、木枯らしの街でコートもなく、ワンピースだけで歩いている女性をイメージしてください。どう思われるでしょう?すぐご近所ならまだしも、電車に乗っていたら?ショールも、秋まではファッションとしてショールだけ羽織ることもありますが、真冬にショールだけというのはちょっとのおつかいくらいですよね。コートなしの着物姿というのも、同じように違和感があるものだと私は思います。ショールも、基本はコートの上に羽織るもの。ショールだけの着物姿は、私には「コートをお持ちじゃないのかしら…」と思えてしまいます。万事カジュアル化の現代では、年寄りの感覚なのかもしれませんが…。

着物のコートは防寒に限らず、汚れや引っ掛けから守り、礼装やお呼ばれのマナーでもありますから、一枚ご用意されて損はありません。まずは正絹のコートを一枚、型は道行でも道中着でもお好みで。道行はフォーマルといわれることもありますが、コートの格はまず生地で決まります。道行でも紬であればカジュアル用となりますから、最初はフォーマルにもカジュアルにも使えるボカシや上品な柄のやわらかものが良いでしょう。
羽織は例えればカーディガンですから、訪問着など礼装には向きません。「紋付絵羽織」を着ればどんな着物も式服になるとされたのは、もう何十年も昔のこと。もちろん素敵な絵羽織で着姿がお洒落になったり、程よく格が上がる効果はあります。古典柄の絵羽織でも金が入っていなければカジュアルにもOKですから、趣味的なアイテムとして上手に着こなしたいですね。

お手元にお嫁入り道具やお譲りものの着丈の短い道行や羽織のある方は、お好きな色柄なら着丈を伸ばしたり、他の生地を上手に組み合わせて仕立て直すこともできます。私は、絵羽織を仕立て直して道行にしました。身丈も伸ばして、なかなか良い八分丈コートができました。img01もし、残念ながら仕立て直しが難しければ…これもお洋服と同様に考えてみてください。きちんと保管しておけばまた先で出番が来るかもしれませんが、今は着られないものと諦めて新しいものを探すのも一つです。お気に入りのコートが一枚あれば、お出かけはぐっと楽しくなりますよ。

この頃は、裏を付けない単衣のコートを仕立てる方が増えています。春、秋、冬と長い期間お召しになれますし、ショールや肌着を組み合わせて乗り切れるくらい、最近の冬は暖かいですから。
コートや羽織を単衣で仕立てるポイントは、しっかりした生地を選ぶこと。くたびれず長持ちするのはもちろん、着姿もきれいです。それから、羽織の肩すべりは衿元からはみ出しやすいので要注意。本来脱ぎ着しやすく、着物との添いを良くするために付ける肩すべりですが、羽織だけでなく単衣のコートも肩すべりなしで仕立てる場合も。生地により向き不向きはありますが、少しでも涼しく軽やかにという流れなのでしょう。その分、生地選びがより大事になりますね。

「着物の防寒はポイント防寒」と以前もお話いたしました。着物の場合胴体部分は重ね着で暖かいので、手首、足首、首筋をカバーすれば冬も十分過ごせるように思います。むしろ、冬の肌着やあったかグッズ選びで一番大切なこと、それは「脱げないものは身に付けない」ということです。

屋内や電車内の暖房は、洋服の方に合わせた温度になっています。ホテルや劇場、レストランは薄着の人に合わせてもっと暖かいでしょう。厚手の肌着やスパッツを着込み、腰にカイロを貼って着物を着たのでは、汗だくになってしまいます。実は、袷の着物のほうがひどい汗ジミがついていること、多いんですよ。カイロも、暑いだけならまだしも汗で痒くなってしまったのに取れなくて、本当に困った経験があります。
アームカバー、足袋カバーは、暑ければすぐ外すことができます。コートも、モコモコのコート一枚よりはすっきりしたコートとショールのほうが寒暖調節が簡単でスマートです。着物の防寒は、寒さだけでなく暑くなったときどうするかも考えて選ぶというのが、私自身がいろいろな失敗をして学んだコツです。
その点、最近は和装肌着も進化しています。衿ぐりや袖口が着物からのぞかないのはもちろんですが、保温、放熱、吸湿、防臭効果があり、肌着が防寒と汗対策もしてくれるのです。肌着だけでなく、着付け小物も使う女性の立場にたって、快適なものがどんどん開発されています。昔から持っているものにこだわらず、良いものは試してみて損はありませんよ。

お洒落する機会も多く、羽織やコートのコーデまで満喫できるのがこれから春までの着物シーズンです。夏と違って、工夫次第で快適に過ごせるのも冬の嬉しいところ。ぜひこの季節ならではの着物ライフを楽しんでくださいね。

今月のおすすめコーディネート

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