よく着物をお求めになるときに、いろんなシーンで着られるものや長いシーズン着られるもの、それから無難なものが欲しいとおっしゃるお客様がいらっしゃいます。
もちろん、気軽に何枚も一度に揃えられるものでもないですからお気持ちはよくわかります。洋服でもベーシックなものを着回すというのはよくありますよね。
その最たる着物が色無地ですよね。一つ紋が入っていれば準礼装として着られるし、紋がなければセミフォーマルから少しカジュアルにも着られる便利なアイテムです。
まずは1枚、と言われるとおすすめな1枚です。でも、今の時代はまず、自分が着てみたいものを選ばれるというのもいいのではないかなと最近思います。
着物をおめしになる方はお分かりになると思いますが、1枚ですべてを満たすような「万能着物」はありません。洋服でも1年中いつでもどんな場所でも着られるものなんてありませんよね。着物も同じで、季節もありますし、着ていく時と場所によって違ってきます。
それに、着物を着る機会というのもフォーマルシーンというよりは、自分の楽しみのために着ることが多くなっているのではないでしょうか。
だったら、誰から見てもおかしくない無難な着物を選ぶよりも、自分が「これが好き!」というものを選んだほうが、袖を通す度にワクワクしますし、気持ちもときめきますよね。
よく体型別で似合う柄とか、パーソナルカラーで選ぶといったこともあるかと思います。もちろんそれも一つの方法ですが、やっぱり自分が一番気に入ったものがその人に似合うものではないかなとこのごろ思います。
着れば気持ちがあがる、着ない時も「あれが箪笥の中にあるわ」と思うだけでも心が豊かになる。そんな1枚を選んでみてはいかがでしょうか。
フォーマルシーンでは別ですが、普段のおしゃれは自分のためにするもの。着物もファッションですから、人から見てどうだというよりは、自分が着たいなと思うものを着て楽しむ。そして、今はそういう時代になってきているのではないでしょうか。
無難なものや人の意見で決めるより、自分がときめく着物で、どんどん着物を楽しんでいただきたいなと思います。