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2024年2月掲載「色」がポイント。
昔の着物を、今風に着こなす


昔誂えた着物や頂き物など、なんとなくレトロな感じがしてうまく着こなせない‥‥。そんなお悩みを伺うことがあります。

レトロはレトロで素敵ですから、徹底してレトロな着こなしにしてしまうとまた素敵なのですが、ちょっと今風にしようとして中途半端になってしまったことはありませんか。帯や小物を新しくすればいいと言われても、なんだかちぐはぐ‥‥。そんな時は「色」に注目してみましょう。

同じ赤でも、昭和に流行した赤と今どきの赤は違うんです。先日、小物を作るためにメーカーさんで赤色の端切れの見本を見せてもらったのですが、本当にたくさんの「赤」があって。

昭和の赤は、「朱」のことを指していたような気がします。今の人はそれはもう朱色であり、赤は赤でもオレンジがかった赤、と認識していますよね。今、赤と言われて思い浮かべるのは、ピンクがかった赤や紫がかった赤など時代とともに変化しているのではないでしょうか。和ではなく、洋の色なのかもしれませんね。

昭和の朱赤は本当に好まれたものです。「朱と黒の帯があったらなんでもあう」と言われたくらいです。私もまさにその頃結婚しましたから、嫁入り着物にもばっちり朱と黒の帯が入っていました。その頃お嫁入り支度にそれが入っていなかった人はいないのではないかしら? それくらい流行した色ですから、その時代の印象が強いのだと思います。

青も同じように、好まれる色味に変化があります。昔は紺っぽいものが多かったですが、最近はターコイズブルーのような鮮やかな色が好まれていますよね。洋服の色に準じて、昔なかったような色が取り入れられているのかもしれません。

昭和な色合わせを変えたいと思ったら、例えば八掛の色が朱赤だったら他の色に取り替えてみるだけでも、がらりと印象が変わります。

「今日はお母さんの着物着てきたの?」なんて言われたら、ちょっと嫌じゃないですか? 古臭く感じられたのかなと気になってしまいます。若い頃気に入って買ってもらった着物を着ていったらそう言われたことがあって、その時はお相手に見る目がないわ!なんて思いましたが、自分の力が足りなかったのかもしれません。せっかくオシャレをするならば、ちょっとでも色合わせを工夫しておふる感が出ないようにしたいですね。

お母さんの着物をそのまま、ではなく、工夫しておしゃれに。それを楽しむ気持ちを持つのがいいと思います。大変だなとか嫌だなと思うのだったら、やめることもできますし、どうやったら今風に、自分らしく着こなせるか楽しむのがおしゃれ、なんじゃないでしょうか。

朱赤や紺なども、人によってはとてもお似合いの方もいるんですよね。その色が古くてダメ、というよりは、組み合わせや自分に似合っているかということもあると思うので、全否定しているわけではないんです。ただ、今流行の色を取り入れるというのは、手っ取り早くオシャレに見える近道でもあります。

着物のおしゃれは奥が深いもの。同じ着物でも着る人によって違いますし、着物、帯、小物、と取り合わせは無限大です。面倒で大変なことかもしれませんが、それこそが着物の醍醐味でもあります。自分ならではの着物のおしゃれ、色にもぜひ注目して楽しんでくださいね。