最近街で着物姿をお見かけして、昔と変わってきたなあと思ったことがありましたので、今回はそのお話をいたしますね。
先日、雨の日に浅草にお出かけをしたのですが、その時レンタル着物を楽しんでいる観光客の皆さんが、帯付き姿でびっくりしました。半幅帯でキレイに着付けてもらって、楽しんでいらっしゃるようでした。
雨の日は当然雨コート、と思い込んでいましたが、考えてみたら洗える着物だったらそこまで神経質にならなくても、洋服と同じように多少濡れても気にせずに楽しめるんですよね。
逆に言うと、正絹は雨に濡れてしまうと本当にお手入れが大変。縮緬なんて、もうびっくりするくらい縮んでしまいますから気を使います。私も当然その日は雨コートを着て、雨草履を履いて対策していましたが、帯付きで傘をさすお嬢さんたちを見て、時代の変化を感じてしまいました。
「正絹の着物は雨に濡らしてはいけない」ということも、知らない方が増えているのではないでしょうか。昔から着物に親しんでいる方には常識のことでも、今から着物を楽しもうという方には伝わっていないこともたくさんあるなと感じています。
また別の日には、訪問着を着た方が雨の中、コートを着ないで歩いていらっしゃる姿をお見かけしました。雨コートなしにも驚いたのですが、雨の日だからか裾をかなり短く着付けていらして。素敵な訪問着だっただけにちょっと残念な気持ちがいたしました。
高価な着物だとか、普段着だとかそういうことではなく、着物の着こなしや着付けも素敵な着姿の大切な要素ですよね。
どんな素敵な柔らかものでも着こなしが‥‥となると微妙な気持ちになりますし、木綿の普段着でも粋に着こなしていらしたら「素敵ですね」とお声かけしたくなります。
いくら着物はおしゃれで自由に着て良いと言っても、「素敵な着姿」を目指したいものですよね。
普段から着物を着なければ、雨の日はコートを着たり、裾の長さに気を使ったり、知らなければできないこと。実際目に親しまなければそういうこともわからないわけですから、これからは観光レンタルの着物の着方がスタンダードになっていくようなことも起こってくるかもしれません。
だって10年前にはこんなにみんながスマホを持っているなんて思いもしませんでしたものね。着物もどうなっていくのでしょうか。
もちろん時代に従って変わっていくこともたくさんありますが、昔ながらの着物のよさや着姿の美しさもまた残していきたいもの。時々他の方々の着物の着こなしを拝見すると、いろいろと考えさせられることが多いですね。
なんだか、古いおばあちゃんが文句を言っていると思われると嫌だけど(笑)、もう皆様当然ご存知でしょう、という考えではなく、どんなことでも一度はご説明したほうがよい部分もあるのでしょうね。みんなが着物を知っていて、おばあさまやお母様から家庭内で教えてもらう、という時代ではなくなりました。
着物警察、と言われないように、お伝えしていけたらいいなあと改めて思いました。