さわやかな季節、着物でのおでかけも楽しい季節になりましたね。でも実は5月は1年で一番紫外線が強い時期なのはご存知でしょうか?
油断しないでお肌のためには日焼け対策もしなくてはいけないのですが、絹は紫外線遮断効果が非常に高い素材ですし、着物は全身を覆ってくれますので、安心ですね。特に野蚕などはやはり外で育っていて強いのか、特に効果が高いそうです。おでかけには日傘も忘れないようにいたしましょう。
でも、お肌だけではなく着物も日焼けをするということはご存知でしょうか。日常的に着たりするときには気にしなくていいのですが、長時間紫外線にさらられると、染料が色あせて、光にあたっていたところだけ退色して色が変わってしまうことを「やけ」といいます。
あまり明るいところに長いこと着物をかけておいたり、畳んであっても一部だけ光にあたっていたりすると、染料が他の部分と色の差が生じてきてしまうことがあります。日光だけではなく、蛍光灯でもやけるのです。
また、全体的に経年で色が変化するのは自然なことですし、たとえば置いておくのも短期間であれば問題ありません。が、長い時間一部だけ光があたっていたりすると、やけが生じてしまうことがあるのです。
また、しまっておくだけでもやけは起きてしまうことがあります。例えばいただいた古いお着物の裄を広く直そうと思ったような場合に、縫い目の中に隠れていた部分が出て来て、色の差が出てしまうことも。中には畳んでしまっておいても、表になっているところと、内側で色の差が出てしまったりすることもあります。
着物だけでなく、反物などもずっとしまってあったものなどだと、最初の1メートルくらいと、中のほうとの色が違うなどということも。それをそのまま仕立てると、身頃と袖の色が違う、ということが起きてきてしまいます。
他にも、反物の端の耳の部分だけやけてしまうこともありますね。今の方は裄が長いから、そうなってしまうと反幅いっぱい使って仕立てることが難しくなってしまいます。古い反物を仕立てようと思ったらとても大変だった、というようなことも聞くことがあります。悉皆屋さんに頼めば直るものもありますが、
どれくらいお金をかけるかというのも考えないといけないですものね。
やはりやけるというのは染め物が多く、大島紬など織物はあまりやけたというのは聞いたことがないですね。先染めのものは堅牢なのかもしれません。
「やけ直し」というようなお手入れもありますので、どうしてもという場合には直すこともできます。でも、費用もかかることですのでできたらそういうことが起こらないようにしたいものですね。
着物を着たら、着た時間の倍くらいの時間ハンガーなどにかけて汗をとばし、畳んで畳紙に入れ、タンスなど、光のあたらないところに仕舞うと安心です。普通に着物を大切に扱えば、そんなに怖がることではありません。
だって平安時代の染め物だって、色が残っているくらいですものね。ただ、そういういうこともある、と頭の片隅にいれておかれるとよろしいのではないかと思います。
新緑が美しい季節、お肌にも着物にも気を配って楽しくおでかけいたしましょうね。