着物は多少サイズが違っても、お召しになれるのがよいところですね。でもやはり、スッキリ美しく着ようと思うとサイズが自分にあっていることが重要になってきます。
譲っていただいた着物など、もしサイズのあわないものがあったらお直ししてお召しになるとぐんと着やすくなります。今回は気軽にできて効果が大きい「裄」と「身幅」のサイズ直しについてお話いたしますね。
裄は手首までの長さで
今は裄を測るときに手首のぐりぐりまでの長さを測ると言われていますが、昔の着物はそれよりももっと短い寸法でした。お炊事など家事も着物でするという前提もありましたし、礼装であっても、意外と短く作ってあります。私も若い頃の着物は、裄が短いですね。
着る人も多かったですから、今の洋服と同じような感覚でそこまで厳密にはしなかったのでしょうね。「女並」「男並」というだいたいの標準寸法があって、それで作ることも多かったのです。
ですから、裄を自分のサイズにするだけでも、着姿が今っぽく素敵になるので、古い着物で気に入っているものがあったらお直しされるのはおすすめです。
また裄を測る時の目安とされている「手首のぐりぐり(くるぶし)」の位置なのですが、それも変わってきているのです。私の年代は「ぐりぐり」=手首の位置なのですが、若い方は、ぐりぐりと手首の位置に距離があるんです。お分かりになりますでしょうかしら‥‥。
だから、ぐりぐりのトップで測ると、手首のところより少し短く採寸されてしまうんですね。だから「手首のシワ」のところまで測るようにすると、よい寸法になります。私はお測りするときには、いつもそれに気をつけています。
それでも、前で手をあわせると短く感じてしまうときもあります。手は動きますし、そういうものなのですが、よりドレッシーに着こなしたいときには裄の寸法にもこだわってみてはいかがでしょうか。
着たらはだけてきちゃう?身幅直しで解決!
サイズのお話ですと、裄のほかに、身幅の問題もあります。正座したときに前がはだけてしまうような場合はヒップのサイズがあわなくて、身幅が足りないことを疑ってください。正座が多い方は特に、前幅を広く作られたりもします。身幅も直すことができますので、着づらく感じたときは、自分のサイズを測り直してみて、着物があっているかどうか確認してみましょう。
洋服のような既成サイズと違って、着物はオーダーメイド、お誂えですから、ご自分の寸法を大事にされるとよいですよね。いただいた着物も、寸法直しができます。手で縫っていて、反幅も変えていないからこそできるお直しですよね。
反幅が足りなくてお直しができない場合もありますが、縫い目を解いてみると確認できます。プロに相談すれば、お直しが可能か見てくれますから、まずは一度相談してみてはいかがでしょうか。縫い目を解いた場合は、ちゃんともとに戻してくれますからご安心を。
お直しができなかった場合は、普段着に気楽に着るとかの方法を考えて、できるものは直して着ていただくのが一番キレイに着られると思います。
なかなか呉服屋さんに「寸法を直してください」と持ち込むのは勇気がいることだと思います。なので、いち利のきものクリニックのようなイベントのときに、プロに見てもらってはいかがでしょうか? 費用がかかりすぎるようなら考えなおしてもいいんですから。
一度そうやって、お直しをされた方は、また持っていらっしゃることが多いですね。やはり自分のサイズで着る心地よさというのがありますものね。
かといって、それなりに費用もかかりますから「それだけの費用をかけても着たい着物か」というのを判断基準になさるといいと思います。「たくさんあるのよ」とおっしゃる方が多いのですが、直しても着なければもったいないですし、着ないのであれば直さなくてよいわけですから、その選別も大切ですよね。
着物はやはり、お安いものではありませんから、気に入ったものはお手入れをしながら大切にお召しになっていただきたいと思います。
サイズの問題や、着物の汚れや傷みなどはやはりプロに相談するのが一番。マイサイズを測り直す機会でもあります。もっともっとご自分のサイズに興味を持ってみてはいかがでしょうか? 着物の着こなしも変わりますよ!