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2020年11月掲載草履の岩佐さんと対談
進化する草履を支える職人の技


いつも催事で鼻緒のすげをしてくださる岩佐さん。その技にはほれぼれしてしまいます。台と鼻緒だけでなく、側生地やつぼまで選んで、まさに世界にひとつの自分好みの草履が誂えられて、しかもその場ですげてもらえるというのは本当にわくわくしますね。

今回は、その岩佐さんに草履のお話を伺いました。岩佐さん女将:岩佐さんはいつごろから草履を作っていらっしゃるのですか?

岩佐:岩佐は1928年の創業で、今の社長が三代目になります。大正時代に今のような革や布などで覆われた台に鼻緒をつける形の草履が生まれました。それまでは下駄とわらじの世界でした。だから古くからある着物や帯と違って、1920年代に創業したメーカーが多いんです。岩佐もはじめは鼻緒メーカーでしたがやがて台も手がけるようになり、今では長年培った職人の技術を活かして、国内産にこだわった草履やバッグなどを製作しています。

女将:そうなんですね。草履ってなんだかもっと古いもののように思っていましたが、意外とモダンなものなのですね。よく、草履って少しかかとを出して履くなんて言われますけれども、どうなのでしょうか?

岩佐:それが実ははじめはサイズ展開が少なかったので、よいことにされたと言われているんです(笑)。でも現にかかとが少し出るぐらいの方が、足が綺麗に小さく見えると思います。

女将:なるほど、確かに小さな台のほうが華奢に見えるのかもしれません。

岩佐:現代では、女性の足のサイズも大きな物まで作るようになったのでお好みで選んでいただけると思います。

女将:よく関西と関東では草履の好みが違うといいますが、どうでしょうか?

岩佐:昔、台の層が何層あるかで職人さんの手間賃が違っていた関西では層の無い小判型が主流となり、何層あっても手間賃が変わらなかった関東は層がわかれているものが好まれたと言われています。

女将:関西は小判型、関東は細めの舟形が多かった気がします。そういう事情があったのですね。

岩佐:現代では固いアスファルトの上を歩くことが多いので、足や膝に負担がかからないように台のなかに真綿を入れたりしていましたが、今ではクッション材を開発しまして長時間歩いてもお疲れが出ないよう工夫しています。

女将:素材も変わってきているのですね。スポンジ素材岩佐:はい。たくさんのスポンジ素材がある中で、岩佐は「履き心地の安定」と「見た目の美しさ」を叶えるために反発性が心地よいクッション型『やわら』という厚さ6mmのスポンジを採用しています。従来の2mmのもの(写真左)に替えて『やわら』(右)を採用することで、長く履いても疲れにくい草履を完成させました。

女将:(やわらを触って)わあ、すごく気持ちがいい。足が疲れないって、本当に助かります。

岩佐:機能もですが、デザインも、履いて出掛けたくなるようなものを揃えています。

女将:お手入れや保管についてはどうすればよろしいでしょうか?

岩佐:履いた後は、柔らかい布で砂やホコリを落としておいてください。あとは、濡れたときには草履の裏の革が水を吸っているので、草履を斜めに立てかけて乾かしてからしまっていただけるとよいと思います。
あと、意外に知られていないかもしれませんが、接着剤が化学変化する可能があるので防虫剤はそばにおかないでください。

女将:あら、うっかり置いていないか気になってきちゃった。家に帰ったらチェックしてみますね。

岩佐:すり減ったり、鼻緒が緩んだりしても修理しながら使っていただけるのが、鼻緒をすげる草履のよいところです。草履のよさを皆さんに知っていただき、気に入った草履を大事に長く履いていただきたいですね。

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昔は町の角角に履物屋さんがあって、修理なども気軽にお願いできましたけれど、今は難しくなっていますね。銀座いち利のはすむかいにも12年ほど前には草履屋さんがあったのですけれど、なくなってしまいました。私にも、好みの鼻緒のすげ具合があって、ちょっときつめのものをつっと引っ掛けるように履くのが好きです。緩んでくると履きにくい。そういう調整もしていただける職人技はなくなってほしくないと思います。着物とともに、草履もやはり日本の文化。新しい風を取り入れながら、職人の技をつないでいっていただきたいと願っております。