着物のお手入れ、特にお母様の着物や若い頃の着物など、そのままでは着られないなと思うものなど、どうしたらいいのかというご相談をよく受けることがあります。皆様、悩まれている方も多いのではないでしょうか。
まず誰に相談したらよいかから迷いますよね。呉服屋さんに行って、高いお値段になっても断れないと困るし、かといって着物のことに詳しい家族や友達もいないしと、不安に思われると思います。
着た着物のお手入れについては、これは怖がらずにお店や専門家に相談してみましょう。汚れがひどければすぐにお手入れに、そうでなければシーズンごとにお手入れはしておきたいですね。
着物は10年20年、また親子でも着続けることができるとは言っても、常日頃のお手入れなくしてはどんなお着物も着られなくなってしまいます。
また、自分のサイズに合わない着物をいただいたり、体型が変わってしまったりすることもありますよね。そんなときには身幅を直したり裄を直したりする、部分的なお直しも可能ですし、洗い張りをして仕立て直すのもおすすめです。
洗い張りとは、いったん着物を解いて端縫い(はぬい)をして1反の反物に戻してお手入れすること。きれいになったところで、また仕立て直すことができます。これがお洋服とは違う、きものの優れたところです。お仕立て直しには限度はありますが、シミをとってもらったり 着やすい自分寸法に直したりできます。
またサイズなおしが必要なくても、丸洗いでは汚れがすっきりしなくなってきたというときなども洗い張りして仕立て直すことも。そのときに、反物の状態で色を変えることもできます。八掛や胴裏を替えたりすることも。八掛を取り替えるだけでも、着物はまるで違う表情になるんですよ。
生地の状態にもよりますので、なんでもできるということではありませんが、着物は悉皆(しっかい)で見違えるように生まれ変わったりもいたします。
悉皆とは「すべて、全部」という意味の言葉ですが、着物の世界では白生地の染め、仕立てからお洗濯、寸法直し、リフォーム、仕立て直し、染め替えなどお手入れ全般すべてのこと。
生地が弱っていたり、金糸や絞り、刺しゅうがあって、お手入れができないものもありますので、まずは安心できる職人さんに相談するのが良いと思います。
色を抜いたり掛けたり染めたり、着物のお手入れは奥が深いので、思ってもみないような知恵を教えてくれるかもしれませんよ。
昔はそうして何度も仕立て直し、擦り切れたりして着物にできなくなると、布団の皮にしたり綿入れにしたりして端切れ(はたきなど)になるまで布を無駄にしなかったものです。
まだ着られるものにはさみを入れて洋服などにリフォームするお話とかを伺うと、私などは古い人間ですのでもったいないと思ってしまいます。でも、着物では着られないというものを、帯やバッグなど、別の形にリフォームすることも最終手段としてはございます。
また、着物は今すぐ着ないからいらないというものでもなく、やはりよいものは手元に置いておかれて、いずれお手入れされてもよいかと思います。特にお母様に譲られたものなどは、似合う年齢というものもあったりいたしますし、一度に全部ではなく、おいおい楽しみにお召しになったりしてもよいのではないでしょうか。
私も、お店でできるだけのご相談に乗っておりますが、やはり悉皆の専門家に直接聞くのが一番の近道。きものEXPOの時には染に詳しい悉皆やさんもいらっしゃるので、もし気になるものがありましたら直接ご相談になさるのが良いと思います。
着物のお直し、お手入れは皆さんが知らないことも多いはずです。
きものEXPOではそんなお悩みに応えるべく、和裁士さん、悉皆屋さん、帯の専門家など多彩な方々がいらっしゃいます。こんな私でも「目からうろこ」のお話など聞くことができますので、ぜひ怖がらずいらしてください。もちろん相談会ですので お話だけでお帰りになるかたも沢山いらっしゃいますから、安心していらしていただければと存じます。私も会場でお待ちしておりますので、気軽にお越し下さいませ。
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