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2020年1月掲載華やかコーデもお手のもの!
「柄×柄」失敗しない5つのコツ


明けましておめでとうございます。令和最初のお正月、いつにも増して気持ちも新たに清清しい幕開けとなりました。皆様はいかがお過ごしでしたか。松の内は過ぎましたが、これからまだまだ新年会や初釜、観劇、コンサートとお正月ならではのイベントが続きます。着物の出番を楽しみにしていらっしゃる方も多いことでしょう。

以前にもお話いたしましたが、昔はお正月といえば晴れ着を着るものでした。私の晴れ着は姉のお下がりの小紋でしたが、普段着と違うきれいな柄が嬉しかったものです。
最近は無地感の着物をメインに洋服感覚のシンプルコーデも多いですが、せっかくのお正月、普段着とは違うちょっと華やかな装いで出かけたいですね。そんなとき悩んでしまうのが、柄ものの着物に柄の帯という組み合わせ。柄オン柄なんて洋服では考えられませんが、着物ではこれが当たり前です。特に礼装でなくお洒落着の場合、「ルールではなくセンスが問われる」というのが、ある意味一番難しいのかもしれません。
そこで今回は、初心者さんにおすすめの失敗しない「柄×柄」のコツをご紹介したいと思います。

その1:大きさのコツ
一番簡単で効果的なのは、着物の柄と帯の柄の大きさを同じにしないことです。小さい柄の着物にはぐっと大きな花柄を合わせたりと思い切ってめりはりをつけましょう。たとえば市松の着物に市松の帯では揃いすぎのようでも、細かい市松に大きな柄の市松ならとてもお洒落な市松尽くしになります。

その2:柄選びのコツ
花柄の着物に花柄の帯を合わせてもよいのですが、バラの着物に菊の帯といった洋花と和花、季節の違う花など、違和感のある組み合わせになる危険も。小さい花や地模様ならそんなに気になりませんが、初心者さんは避けておくのもひとつです。
私のおすすめは幾何学模様の帯。季節や年齢を問わず使えてモダンに見えます。色も、昔は普段使いに黒と朱色の帯を揃えましたが、今ならやさしい生成りやグレーなどの中間色がいいですね。無難な色ではつまらないですか?でも、同じグレーでも、藤色、水色、ピンク…ニュアンスは無限です。ご自身の好きな色味を探すのも楽しいですよ。

その3:時代合わせのコツ
これは着物研究家・池田重子さんの言葉ですが、アンティークの組み合わせの秘訣は、作られた時代を合わせること。大正ロマン風なら着物も帯も帯留も、トータルでその時代のものを合わせるのだそうです。
私がそれを実感したのは、一時期大正ロマン風にハマってあれこれコーデを試していたときのこと。華やかで大柄の着物や帯に白無地の半衿ではどうもしっくりこないのです。大正時代は女性がみんな半衿に夢中になって、半衿をしまうための専用箪笥まであったのだとか。着物も当然それを見越したデザインなのですね。けれど、残念ながら私にはそんな半衿がどうしても似合わず、憧れの大正ロマンコーデを諦めました。いくら憧れでも、自分に似合うかどうかの見極めも大人の女には大事ですものね(涙)。
アンティークでなくても、正倉院柄には同じく品のいい古典柄だったり、その時代の柄を合わせると失敗無くまとまります。ちょっと知識も必要で上級さん向けですが、覚えておいて損はありませんよ。
ちなみに、このバリエーションで「産地合わせ」というワザも。たとえば琉球絣に紅型の帯は南国のものどうしとても似合います。気候風土や職人さんの気質なども共通するところがあるのでしょうね。

その4:体型カバーのコツ
これは色柄選びになりますが、私がぽっちゃり見えないように気をつけているのは、無地よりも飛び柄、縞より横段、縦縞なら規則的な縞よりよろけ縞や不揃いな縞など、視線を散らす柄を選ぶこと。ちなみに着物初心者さんほどなぜか縦縞を選びがちなのですが、まっすぐ揃った縦縞をゆがまないよう着付けるのは、なかなか難易度が高いですよ。横段は長方形の市松になるようずらして仕立てます。洋服のボーダみたいにはなりませんのでご安心を!
また、黒はしまって見えるといわれますが年齢と共に顔が明るく見える色を選びたいもの。白っぽい色の着物ならなおのこと無地よりも柄にめりはりがあるものがおすすめです。
体型は人それぞれで皆様お悩みは尽きません。けれど、長身ならそれをいかす大胆な柄、小柄な方にはやさしい柄など、その方だからこそ似合うものが必ずあります。ぜひ、ご自身の個性を生かす色柄をみつけてください。

その5:お譲りもの・お嫁入り着物のコツ
少し前に、読者の方からお母様・おばあ様の着物や帯に何を合わせれば現代的になるか?というご質問をいただきました。柄に限りませんが、私なりのコツをご紹介いたしますね。
まず、お手持ちの中から現在の貴女が着たいもの、着られるものをセレクトしましょう。お母様やおばあ様の頃には「○○歳代で着る色」がきっちり決まっていました。柄や地模様も、若いときは大きい柄で年齢につれて小さい柄になります。
合わせやすいのは紬でも小紋でも、シックな色で柄の目立たないもの。江戸小紋などは柄の流行もありませんし、色さえ選べば年齢を問わず着られます。今の着物や帯は、全体的にソフトな中間色やシャーベットカラーが主流です。派手な八掛を「まだきれいだから」とそのままにせずご自身のお好みや年齢に合わせた色に替えたり、赤い地色や柄の目立つ着物は、思い切ってコートや羽織に直すのもひとつです。
先ほどの「時代を合わせる」と矛盾するようですが、昭和の着物と昭和の帯では、どうしてもその時代の雰囲気が出てしまいます。まずはシンプルで年齢を問わない着物にお好きな帯を合わせてみてはいかがでしょう。

あくまで「ルール」ではなく「コツ」ですし、このとおりでなくても素敵な着こなしの方がたくさんいらっしゃいます。今は、インスタグラムで様々な年代の方の着物姿をいくらでも拝見することができますね。着物歴何十年の方よりも、始めたばかりの初心者さんのほうがお洒落なこともあります。私もいつもはっと驚かされ、勉強になることばかりです。インスタでコーデのお手本を探すのもよし、ご自身のコーデを写真に撮ってインスタを日記代わりにするのもいいですね。

TPOと季節さえ合わせれば、着物のお洒落に「間違い」はありません。あるのはステップアップのみ!この前はこの組み合わせだったけれど、今回はこうしてみよう。10年前はこれが似合ったけれど、最近ちょっと違うみたい…そんな風に皆様それぞれがその人なりのコーデ、着こなしを探し、もっとお洒落を磨いていきましょう。私も微力ながらお手伝いができるよう、2020年も拙いお話を続けてまいります。どうぞ今年も、ご愛読よろしくお願いいたします。

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