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2019年3月掲載カジュアルとフォーマルの境目はどこ!?
女将流・小物選びの基本ルール


春の花がほころびはじめて、週末ごとに暖かさが増すこの頃、着物ライフもいっそう楽しくなりますね。
おかげ様で、このコラムもなんと4周年。3月に始まったのは偶然ですが、新たなスタートにふさわしい季節にこうして感謝の気持ちをお伝えできるのは、気持ちがあらたまり喜びもひとしおです。5年目も、皆様と着物トークを楽しむ気持ちで続けてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

さて、今回のテーマは「小物のTPO」としてみました。
入卒式や結婚式、ちょっとあらたまったお集まりごとが重なる頃、いち利でもお式ごとの装い、なかでも小物のご相談が多くなります。お嫁入りのときのものが派手になったり、新しい帯〆や帯揚でイメージを変えたくなったりと理由はさまざまですが、共通のお悩みは「小物って何を合わせたらいいのか、よく分からない」ということ。読者様からも「手持ちの小物の見分け方が知りたい!」というお声をいただきましたので、今回は帯まわりや草履・バッグのTPOをご紹介したいと思います。

まず、コーディネートの要となる帯〆と帯揚。金銀の入った平組のフォーマル帯〆は、箪笥に1本はありそうですね。もしゆるぎ組をお持ちでしたら、フォーマル、カジュアルのどちらにもお使いいただけます。「ゆるぎ」は漢字で「冠」と書きます。昔は男性の冠の紐に使われた組み方なので金銀が入っていなくても格が高いとされるのです。
丸組は基本的にはカジュアル向き。三分紐も趣味のものに分類されます。ビビッドな色ならカジュアル用ですし、白や金銀の三分紐もパーティーの装いには素敵ですが、お式ごとには避けたほうが無難でしょう。同様に、帯留もお洒落のためのアイテム。高価な宝石の帯留であっても、留袖に合わせるには違和感を感じます。もっとも、訪問着や振袖を華やかに盛りたてるための素晴らしい帯留もたくさんありますし、それをあれこれ選ぶのは楽しいことですね。

帯揚は生地で季節、色柄でTPOに合うものを選びます。ふっくらした縮緬は袷に、すっきりした綸子は単衣にも、そして夏は絽で涼しげに。飛び絞りは、淡い色なら訪問着にもOK。白地に赤ならカジュアル向けになります。
基本的にはお手持ちの帯〆帯揚を、フォーマルには上品で優しいなじませ色、カジュアルにはビビッドなきかせ色と使い分けていただけばコーディネートの失敗はないでしょう。では、ビビッドな色に金糸が入っていたらどっち?
やっぱり強い色はお洒落用です。華やかなパーティーには素敵ですが、正式な席では浮いてしまいそうですね。

さて、草履とバッグは洋装と通じるところもありますからそんなに難しくありません。とはいえ、お洒落は足元からといわれるようにコーディネートの大事なポイント。ふさわしいものを選びたいですね。
TPOに合う草履を選ぶには、まず花緒を見ます。台が三段のかかとが高い草履でも、花緒が紬など洒落ものならカジュアル向きです。金銀の帯地や佐賀錦が一番フォーマルで、バッグとセットのものも多いでしょう。白っぽいエナメルの花緒はフォーマルからちょっとしたよそゆきに。真っ白だとかしこまった感じですが、クリーム色などはふだんにも使いやすいですね。
靴と同じでかかとの低いものはカジュアル、高いものほどフォーマル向きですが、以前はフォーマル用でも低いものがあったり、逆にこの頃はスニーカーと同じ材質の厚底草履なども出ていますので、高さと花緒、全体の色柄、材質をトータルで判断してくださいね。

それから、実用的な意味でご注意いただきたいのがずっと前にお求めの草履です。ほとんど履いていないフォーマル用などもったいないようですが、年数につれて劣化は進んでいるのです。歩いていたら底がはがれてしまったり、花緒が切れたり…もし階段でそんなことになれば、大怪我につながりかねません。思い切って新調されるか、プロの草履職人さんにみていただくことをおすすめします。

バッグは布帛でも皮革でもかまいませんが、フォーマルには小さめを選び、荷物を入れるサブバッグをお持ちください。そして、TPOを問わず持ち手の長いショルダーバッグや大きいバッグは、着物姿にはそぐいません。
その点、利休バッグは長い歴史の中で出来上がっただけあって、本当に優秀なアイテムです。洗練されたシンプルな形は機能的にも優れて見た目よりたくさん入りますし、軽くて持ちやすく、持ったときの姿も美しい。かたちの良さが生地のカジュアル、フォーマルをカバーしてくれて、紬地でも訪問着に合わせられる色柄もあります。おでかけのたびにバッグで悩まれる方は、シンプルで合わせやすい利休を一つお持ちになってはいかがでしょう。

さて、帯〆帯揚、草履にバッグとお話してまいりましたが、毎年お見かけする「よそゆき残念コーデ」が、成人式の小物をそのままお使いのケースです。丸組に金銀の立派な帯〆、総絞りの帯揚、赤やピンクのエナメルの草履バッグセット…箪笥にあったから、高価なものだったからと拝察いたしますが、お着物と帯は本当に素敵でお似合いなのに、なんとも惜しいこと!と思わずにはいられません。振袖用の小物は、ボリュームも華やかさも振袖に合うよう作られたもの。もったいないと思わずに、ぜひ今のご年齢やお立場にふさわしいものをお使いになってくださいね。
いずれにしましても、「これで大丈夫かしら…」と迷うものは、きちんとしたお席では避けておくのが賢明です。大切な日のお写真はずっと後まで残りますし、後からやり直すこともできませんものね。

私の若い頃は、着物といえば黒留袖と紬、ふだん着のウール…普通の家庭には訪問着などなくて、江戸小紋に黒の絵羽織が万能の礼装でした。そもそも女性が一人であらたまった場に行くことはなく、家長に従ってお決まりの装いで出かけたのです。
対して今は、女性が主役の時代です。なんだか標語のようですけれど、皆様の着物との関わり方、楽しみ方を拝見して、日々そう実感いたします。女性ひとりで催しやパーティーに参加するのはちっともおかしくありませんし、多彩な着物や小物から、自分らしいコーディネートを楽しむこともできます。自由に選べるというのがお悩みの種でもあり、それでもやっぱり女性としては嬉しい悩みだと思うのです。

TPOといっても小物は線引きがあいまいな部分もありますから、堅苦しい決まりごとと考えず、ご一緒の方が気持ちよく過ごせるようなその場にふさわしい装い、ととらえてみてはいかがでしょう。趣味の席なら、自由にあなたらしいお洒落を楽しんで。そして、ここぞというときには大人の女性らしい礼儀とたしなみをもって、主催者への敬意やその日を大切に思う気持ちを、着物をとおして表現できたら素敵ですね。

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