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2018年5月掲載挿し色ひとつで垢抜ける!
「色」でひきたつ季節の装い


新緑がまぶしい初夏。ゴールデーンウィークには、着物でおでかけを楽しんでいらっしゃる方も多いでしょう。
先週は真夏日のニュースもあり、単衣を飛び越えて夏物を着たいような暑さでした。
最近は着物雑誌などでも「カジュアル着物の場合は気温で衣替えをしてよい」と書かれています。こんな陽気では、むしろ軽やかな単衣の方が自然に感じられそうですね。

私自身も、今年は4月中旬頃から単衣を着はじめています。
いつもはゴールデンウィークに入ってから単衣、というのを目安にしているのですが…
4月2週目に松屋銀座でイベントがあり、いち利も出展いたしましたが、初日がとにかく大変なにぎわいでした。その日は袷の紅花紬を着ておりましたが、夕方には汗びっしょり。ご一緒した星わにこさんと「明日からはもう単衣にしましょう!」となったのです。画像1翌日は大島紬の単衣でだいぶ過ごしやすく、イベントの混雑も落ち着いて、お立ち寄りくださった皆様とお話したり、行きかうお客様のご様子を拝見したり。皆様着物をお洒落に着こなしておられ、お客様から「来場している方のお着物が素敵だったわ~」とお聞きすることもしばしばでした。中には、以前私がファンだった着物雑誌の読者モデルの方もいらして、昔よりもむしろ若返ったような美しいお姿にうっとり。
その方が雑誌で活躍しておられた頃は、渋い着物が「通」のような感じがあり、読者モデルの方々もこぞってシックな着物をお召しでした。その日お見かけした彼女はうってかわってカラフルな明るい装いで、着物にも確かに流行の移り変わりがあることをあらためて実感いたしました。

お洋服も、黒ずくめのファッションが流行ったのは昔のこと。今は季節に合わせた明るくきれいな挿し色が欠かせなくなっていますね。着物も同じように、お洋服よりゆるやかではありますが、新しい「色」が来ているのを感じます。

昔は、着物の色といえばだいたい決まっていたものです。朱赤、桃色、緑色などのよそゆきか、ふだん着は地味な紺や暗い茶など…染料も今より限られていて色移りの心配がありましたから、バリエーション豊富というわけにはいきませんでした。
先日、着付教室でとても鮮やかなグリーンのお着物をお召しの生徒さんに、クラスメイトの方が「こんなきれいな色、昔はなかったのよ~」としみじみおっしゃったのですが、本当にそのとおりです。青系ひとつとっても、よくある着物の水色や紺ではない、透明感あるターコイズブルーや目のさめるようなロイヤルブルーは、手の届かない憧れの色。高価な作家ものでもなければ、なかなかみつからなかったのです。

今は身近なカジュアル着物、たとえば遠州木綿や阿波しじらなどとてもリーズナブルなものにも、顔色をきれいに見せるシャーベットカラーや垢抜けたビビッドカラーなど新しい色が登場するようになりました。お洋服感覚の色は、若い世代の方にはむしろなじみのあるもので、コーディネートしやすいようです。私も、若い生徒さんの色彩感覚に学ぶところがたくさんあります。
「私、赤は似合わないのよね」「この着物に青い帯は合わないわ」なんて思っておられる方も、ぜひご自身の色のイメージをいったんリセットして、「今の赤」「今の青」を合わせてみてはいかがでしょう。

着物や帯は面積も大きいし目立ちすぎるかも…という方は、ぜひ小物から今風の色に挑戦してみてください。
帯〆帯揚を、春~初夏は濁りのないきれいなターコイズやレモンイエローに。晩夏~秋には深みと温かみを感じさせるモスグリーンやボルドーに。胸元の帯揚1枚でも季節を感じさせる着こなしになりますし、1枚の着物を春と秋異なる印象で着回すことができます。

また、挿し色として帯〆や帯揚以上に目立つのがバッグです。お好きな色がご自身に似合うのか今ひとつ自信がない方や、お好きな色なのにご年齢につれて着づらくなってしまった方は、お顔から遠いところに挿し色として使うのがおすすめ。バッグは、それにもってこいなんですよ。
さわやかな初夏の装いでも、バッグだけが黒いレザーのハンドバッグという方は意外といらっしゃるもの。しかも大きめとなると、かなり重~い印象に…せめてもう一回り小さいバッグなら、すっきりしたお姿になるのにと残念なこともあります。
バッグはお洋服でも兼用できますし、お手ごろな布帛のもので十分ですから、ひとつ挿し色になるものをお持ちになるのはいかがでしょう。バッグこちらは、いち利モールのカラフルなバッグです。内袋の色もお洒落なんですよ。


先日行われた銀座いち利着付教室の修了パーティーでも、上手にバッグをコーディネートしていた生徒さんは注目の的でした。画像2ブルーのコーディネートで、バッグと帯〆の色を合わせてポイントにされているのが素敵ですね!画像3帯とおそろいの利休バッグは、残布を利用してオーダーされたものです。ちょっと技ありのお洒落ですね。

小物の色合わせというと「よくわからなくて、いつも同じパターンになってしまう…」というご相談もいただきますが、まずはあれこれ合わせてみることです。
いち利の前結び教室では、お持ちの着物と帯にいろいろな帯〆帯揚を合わせてみる実践レッスンも行っています。たとえばこんな感じで…画像4、5いかがですか。シンプルな着物、帯ほど小物しだいで表情ががらりと変わります。ご自身では思いもよらなかった組み合わせを周囲の方から提案されて新しい着こなしを発見したり、とても盛り上がる楽しい授業です。
お友達同士のおでかけや着物でのイベントに参加されて、他の方の着こなしを参考にしたり、アドバイスしあうのもいいですね。

初夏の陽射しのもと全てが色鮮やかに輝く季節。着物ならではのカラーコーディネートもひときわ楽しく、お手持ちの着物や帯の新しい魅力を発見できるはずですよ。

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