本当に暑い日が続きますね。夏といえば浴衣をお召しになる方も多いのではないでしょうか?浴衣はもともとは高貴な方が湯上がりに汗拭き代わりにお召しになっていたもので、部屋着ですから、昭和な感覚ですと普段のご近所着というようなイメージですけれど、今は衿を付けて着物風にお召しになったり、ちょっとしたお出かけにも対応できるようになってきていますね。
着物と違って、ちょっと大胆な柄が楽しめたりもしますね。また素材も綿だけではなく綿紅梅や絹紅梅、新素材のセオアルファなど、多種多様です。
花火大会なども今年は軒並み中止となってしまったから、浴衣を着てお出かけという機会も減ってしまったかもしれませんが、だからこそ大人がすっきりとした浴衣姿で歩くのは、素敵ですよね。
今回は、大人がすっきり浴衣を着こなすコツについてお話させていただこうかと思います。
着慣れない若い方が、浴衣を一生懸命着ておでかけをしている姿は見ていて微笑ましくなるものですが、同時にあらら、と気になることも結構あります。胸元や脇など、きちっと着ていないと浴衣は隙だらけになってしまうものなのです。お声をかけていいものやら、悩ましい思いをすることも。大人はまず、そいった事態は避けたいものです。
普段着で着るとはいえ、大人がだらりと着ていると見苦しいもの。ゆったりとだらりは違います。身体の線も結構見えてしまうものなんですよ。
浴衣でもきちっとエアリズムなど、涼しい素材のなにかを着ていてほしいですね。隠した色気とでもいいましょうか、見せればいいというものじゃなく、浴衣だからこそきちんと着ることが大切だと思います。足の形も透けて見えないよう、スリップやステテコなどを履きたいもの。特にステテコは、足の間の汗もとってくれますから、私は必ず履いています。浴衣だからこそ、中身をきちんとすることが大切です。
よく言われるのは、白地は夜、紺地は昼というものですが、これは夜は白地の浴衣のほうが明るく映える、そして昼は白地だと下が透けて見えてしまうので紺地がよいということです。やはり透けて見えてしまうのは避けたいですね。
基本的なことですが、左前も見かけることがあります。必ず右手が懐に入るように、と覚えておけば間違えませんね。男性はふりがないから小さな物を袖口から入れることもありますが、女性は袖口からものを入れたりしないように、電車のつり革に腕をニョキっと出して掴まらない、などなど、しぐさに気をつけるのも大事。普段着とはいえ、注目もされますから、気を抜かずに。
大人は、半幅帯も普段にはいいけれど、実は半幅帯は身体をカバーする面積が小さいから、脇や背中のお肉が目立ってしまうことも。博多献上の名古屋帯なんかをあわせると、大人はちょっとかっこいいかもしれません。
あとはきれいに衣紋が抜けるように、私は下前の内側の掛け襟のところをちょっとといて、そこから衿芯を入れてしまいます。そうすると、ヨレっとならずにシャキっと衣紋が抜けますから、おすすめですよ。
浴衣って裄が短くてもいいんだけど、そうするととても子供っぽく見えてしまうことも。厳しい言い方かもしれないけど、大人は自分の寸法の浴衣をお召しになってほしいですね。
またこれも古いのかもしれませんけれど、私の感覚では、やはり浴衣は日が高いうちから着るよりも、夕方の少し風が出てきたころからのものかしら、と思います。大人の女性が、夕涼みしながら藍染の浴衣をすらっと博多献上で着こなしていたら、最高ですね。
大人の浴衣はキチンと感が大切。隙を見せずにスッキリと、粋に着こなしてくださいませ。