2017年6月掲載

敷居が高い?“呉服屋さん”スマートな入り方、付き合い方こっそり教えます!


梅雨入りを前に夏日が続きます。
街行く人は5月から半袖姿。いち利のスタッフも少し早く単衣を着たり、長襦袢を涼しい麻や爽竹にしたりと、なんとか初夏の暑さをやり過ごしておりました。
6月1日からやっと衣替え。半衿や帯揚などの小物や帯が夏物に替わると、軽やかで過ごしやすくなりますね。

さて、先日いち利モールの「とりよせサービス」で初めて来店されたお客様から、「一度お店に行きたいと思いながら、呉服屋さんに行ったことがなくてとても不安だったんです」とお話しいただきました。
私の若い頃も、「呉服屋さん」というと今以上に敷居が高く、ちょっと入るのも勇気がいったものです。ただ、昔は母や祖母のいきつけのお店があったり、身近な着物の先輩から紹介してもらったりしながら、だんだん自分好みのお店をみつけていくことができました。最近はそれも難しく、ドキドキしながら「行ってみようかどうしようか…」と悩んでおられる方も少なくないことでしょう。
今回は、緊張せずに初めての呉服店に入り、ご自分に合うお店をみつけるコツをお教えしちゃいます♪

まずは、お店の下調べ。呉服店によっては、扱っている商品にかなり偏りがあります。普段着が見たいのに入ったら振袖ばかり…なんてことのないよう、事前にリサーチしておかれると安心です。
最近はネットや雑誌で店内のようすを詳しく見ることもできます。ショッピングモールの通路にあるようなお店なら通りすがりにさっと入れますし、落ち着いた雰囲気の専門店はゆっくり相談なさるのに向いています。
お店のブログなどがあれば、スタッフの人柄や知識もわかりますね。

初めてのお店となれば、どなたも多少は緊張なさることでしょう。「勧められたらどうしよう」「買わなくてもいいのかな…」なんて心配になってしまいます。
そんなときの魔法の呪文。それは…
「洋服屋さんと同じ!」
貴女が洋服屋さんに入って、もし気になる品物があったら試着をしてみますでしょう。気に入ってご予算とも合えばお求めになるかもしれないし、ちょっと違うなと思えば「ごめんなさい」と言ってお店を出るだけのことですよね。

そんな感じで、肩の力を抜いてお店に入ってみましょう。「ちょっと見せてください」とひと声掛けるとスマートです。
お店のスタッフも、初めてのお客様をお迎えするときは緊張します。着物を始めたばかりの方なら「初心者なんです」、雑誌やネットでみつけたお店なら「○○を見ました」なんて一言添えてくださると、ぐっとお話しやすくなってありがたいんですよ。

何かお探しのものがあるときには、スタッフに「○○を見たいのですが」と声を掛けてください。着物や帯は、光線を避けるために引き出しにしまってあることが多いのです。その日お買物のご予定でなければ「今日は見るだけです」、良いものがあれば買いたいときは、「こういうものを探しています」「予算はこれくらいです」とはっきり伝えて大丈夫。どちらの場合でも、きちんと対応してくれるのが良いお店、良いスタッフです。
着物や帯の種類、素材など、分からないことはなんでもお訊ねください。今は、着物のことを何もご存知なくて当たり前の時代ですから、ちっとも恥ずかしいことではありません。

着物や帯を出してもらったり反物を巻いて試着したりすると、買わなきゃいけない!と思われるのか、遠慮なさる方もいらっしゃいます。でも、せっかくですからお手にとって、お顔映りなども確かめてみてください。
お探しの品物がお似合いでしたら、お勧めされることもあるでしょう。お店にとってはそれがお仕事で当たり前のことなので、構えなくても大丈夫です。買うか買わないかは、あくまでお客様次第。先ほども申し上げましたが、洋服の試着と同じで、お好みやご予算に合わなければ「ごめんなさい」の一言で十分なんですよ。

確かに、世の中には断っても強引にお勧めするお店もあり、嫌な経験をされた方もいらっしゃるかもしれません。
お客様と「一回きりのお付き合いでいい」という考えだと、そういった対応になってしまいがちなのです。
けれど、本来着物とは「お買上げいただいて終わり」ではありません。その後のメンテナンスやご着用に際しての様々なことまでお手伝いするのが専門店の役割です。
お客様と長いお付き合いを大切に考えるお店なら、その日貴女がお買物をしてもしなくても、気持ちよく見送ってくれることでしょう。

探しものをストレートに伝えることに抵抗がある方は、お手持ちの着物の相談をしてみるのもおすすめです。お手入れや寸法、どんなとき着たらいいかなど、丁寧に対応してくれるか、スタッフの知識はどうかなどで、どんなお店かがわかります。

お好みや相性の合う信頼できるお店がみつかったら、ぜひ貴女の「専属着物アドバイザー」として活用なさってください。
寸法や着付け、お手入れなど、ネットを調べても正解がわからず一人で堂々巡りしてしまうようなことも、いつでも気軽に相談できます。
また、コーディネートやTPOなどが間違っていても、まわりのお友達は「おかしいわよ」とはなかなか言ってくれませんが、着物のプロはきちんと指摘してくれます。
お買物でも、お好みやご予算に合うのはもちろん、お手持ちのアイテムとのコーディネートまで考えて本当に必要なものを探してくれます。
「なじみの呉服屋さん」は、そんな心強い存在なのです。

それに、いろいろな着物を見たり実際に触ったりすることで着物を見る目が肥え、お似合いになるものやご自身の好みがわかってきます。お買物でなくても、季節ごとの着物や様々な着姿を見に足を運べるお店があるのは楽しいものです。
その意味では、展示会やイベントには珍しい着物が並び、作り手さんとお話することもできますし、高価な品ばかりでなく思わぬ掘り出し物に出会うこともありますから、あまり気負わず覗いてみるのもおすすめです。

夏の小物や浴衣、半巾帯などを探しにふらっと立ち寄られるお客様も増えるこの季節。
気軽に手に取りやすいアイテムが多い夏は、初めてのお店にちょっと入ってみるのに格好のタイミングかもしれません。
今度のお休みは、気になっていたあのお店のドアを思い切って開けてみませんか?

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