2016年12月掲載

「キモノが普段着」を叶える!今、木綿に大注目です♪


12月に入り、街はクリスマス一色です。ふだんあまり着物を着る機会が無くても、クリスマスのお食事や忘年会には着物で行こうかな、という気持ちになりますね。
いち利のお店でも、毎年この時期はクリスマスモチーフの帯留やビビッドな色の帯〆帯揚が並びます。ちょっとした小物でもその季節ならではのお洒落を取り入れられるのが着物のいいところですよね。

さて、今月発売の雑誌「七緒」、なんといち利の着物が表紙に登場しているのです。「木綿きもの」の特集ということで、カジュアル着物専門店のいち利らしいポップな木綿を、モデルさんに着ていただきました。本屋さんに並びましたら、ぜひお手に取ってみてくださいね。

冬号で木綿の特集なんて最初は少し驚きましたけれど、今木綿が本当にブームなのですね。着物をふだんのお洒落に取り入れたいと思っても、正絹の着物は価格的にも家でお洗濯ができないという点も、ちょっと敷居が高くなりがちです。
特に最近は、一度袖を通した服は洗濯したいという方も多いですから、ご自宅で洗えるリーズナブルな木綿は、とてもとっつきやすいのだと思います。

けれど、価格とお洗濯だけではこれほど注目を集めたりはしないはず。木綿の人気の理由は、やっぱりお洒落な色柄がびっくりするほどたくさん世の中に出てきたことだと思うのです。
昔は、木綿イコール作業着・ホームウエアで、汚れが目立たないようにと黒っぽい地味なものしかありませんでした。私も母からもらった久留米絣は濃い茶色の地味〜な色柄で、紅型の帯で少しでも明るく見えるように合わせたものです。
それに比べたら、今お店に並ぶ木綿のなんてカラフルで可愛いこと!白っぽいもの、ポップなものや、絣も今風のちょっとかっこいい雰囲気です。各産地のメーカーさんが、今のひとに喜ばれるお洒落なものを作ろう!と、うんと努力されているのですね。

さて、木綿はホームウエアと申し上げましたが、今もやっぱり着付教室ではそのように教えるかもしれません。木綿は、そうですね…たとえるとセーターみたいなものでしょうか。上質で新しくぱりっとしたものはお洒落着にもなりますが、たくさん着て毛玉ができたりくたびれてきたら部屋着、という感じです。フォーマル着ではないということをわきまえた上で、どう着こなすかはご自身のセンスやコーディネート次第というところも似ています。

木綿を外出着としてお洒落に着こなすなら、まずこの「ぱりっと感」が大切です。お洒落着用洗剤で丁寧に洗う(普段着用洗剤は漂白成分が入っているので、濃い地色の場合色褪せにつながります!)。つるしっぱなしにしないできちんと畳み、あるべきところに折り癖を付ける。
着ているうちに多少しわが付くのはしかたありませんが、観劇など長時間座りっぱなしだったり、お座敷で正座になる席では木綿は避けたほうが無難かも…膝やお尻がどうしても出てしまいますから。

着付けも、よそゆきとして木綿を着たいならいつも以上にきれいにと心がけてみてください。ゆるゆるざっくりな着付けですと、本当におうちのくつろぎ感が漂ってしまいます。補正をしてきちっと着付けることで、「木綿に見えないわ〜」と言われるほど上等に、ちょっとした紬のようにも見えますよ。

帯も、あえてちょっといい帯を合わせてみましょう。木綿や化繊でなく正絹の、風合いのある紬の帯や洒落た染め帯を合わせることで、ぐっと着物がランクアップして見えます。いい帯といっても格の高い帯や織の立派な帯はもちろん不似合いですし、袋帯も単衣仕立の木綿にはちょっとボリュームが出過ぎる気がします。
八寸や九寸の名古屋帯や、半巾帯もいいですね。半巾帯なら、西陣や博多のちょっと洒落た織帯でも肩肘張らずに着こなせそうですね。

もし木綿を一枚お選びになるなら、色柄はそれぞれお好みですけれど、風合いと打ち込みをチェックしてみてください。
打ち込みがいい=しっかり織られて目が積んでいるものは、膝が抜けたりヨレヨレになりにくいです。
風合いは、縦糸と横糸の太さに注目してみましょう。結城紬などをイメージしてください。縦糸と横糸の太さが均一でないものはより立体的な織り感が出ますね。
糸が全体的に細いとやわらかくしなやかに、太いとかたく重い生地になります。

ときたま、非常にお安い木綿の反物を見かけますが、あるお客様が購入したセール品は、反物の長さが10mそこそこしか無かったのですって。反物の巾が狭い場合もありますので、身長の高い方は注意してくださいね。
木綿に限りませんが、せっかく一枚作られるのでしたら、お値段優先ばかりでなく、着心地や品質も納得いくものの方が、長く愛用していただけますよ。

お気に入りの一枚が見つかったら、次はお仕立です。単衣仕立で袷の季節もずっと着られるのも木綿の嬉しいところ。ウールや木綿など普段着は昔から裏を付けずに仕立てます。背縫いの強度が心配な方は、薄い綿の居敷当を付けてもいいですね。
衿は広衿でもバチ衿でもいいのですが、手入れがラクなのはバチ衿でしょうか。
広衿は厚みが出るので、生地によってはゴロゴロして気になるかもしれません。上半身が華奢で補正を入れている方なら、広衿に仕立てて補正代わりにするのもアリです。

木綿着物が一枚あると、着物を着る回数がぐっと増えるはず。雨でも平気、汚れても洗えばいいと思うと着物がうんと気楽に、身近に感じられますでしょう。
しかも、色柄のバリエーションが豊富でお好きなものが選べるし、色々なコーディネートを考えるとおでかけが楽しみになってきます。

以前にも申し上げましたが、昔はフォーマル着物にうんと予算を投入しました。自分のお洒落のためでなく、夫や家族のために良いものを着るという時代でしたから、普段着なんて本当に実用的なものしかなかったのです。
今は、ふだんの生活を楽しむ時代と言えるでしょう。毎日の暮らしの中で、自分の好きなものを選んで自分が楽しむ。世の中が自由になりましたし、この年齢はこうという縛りもなくなり、お洒落の幅がうんと広がったと思います。

そんな現代のライフスタイルに、木綿のお洒落は実にぴったりだと思いませんか?
手ごろなお値段なので、普段選ばないような色柄や大胆なものにも挑戦してみるのもいいですよね。
寒い時期は防寒肌着やウールのコートなどを合わせて温かく、春風が吹いてきたら、爽竹や麻の長襦袢で軽やかに。
12月はいち利本店、心斎橋店ともたくさんの木綿が並んでおります。もしご興味を持っていただけましたら、気軽にのぞいてみてくださいね。

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